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Channel: 夢見る税理士の独立開業繁盛記
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教育訓練費はどこまで厳密に抽出すべきか・・・

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平成30年4月以降開始事業年度より新しくなる所得拡大促進税制。計算用のエクセルシートを作っていたのですが、中小企業者用が何とか仕上がったかなあという感じです。
中小企業者用は別表が新制度のみの対応になっているので、一枚に収まって分かりやすいですよね。
f:id:kobarin:20181005170215j:plain


中小企業者の場合別表の計算式にもありますが、
f:id:kobarin:20181005170224j:plain
継続雇用者の給与増加割合が2.5%以上で教育訓練費の増加割合が10%以上(又は前期の教育訓練費がゼロの場合、今期の教育訓練費が1円以上)の場合、下記の措置法の通り税額控除額が上乗せされるのですが、ここでふと疑問に思ったのが「教育訓練費はどこまで厳密に抽出しないとダメなのかな?」ということです。

(給与等の引上げ及び設備投資を行つた場合等の法人税額の特別控除)
租税特別措置法
第四十二条の十二の五 
2 第四十二条の四第三項に規定する中小企業者(適用除外事業者に該当するものを除く。)又は農業協同組合等で、青色申告書を提出するもの(以下この項及び次項第十二号において「中小企業者等」という。)が、平成三十年四月一日から平成三十三年三月三十一日までの間に開始する各事業年度(前項の規定の適用を受ける事業年度、設立事業年度、解散(合併による解散を除く。)の日を含む事業年度及び清算中の各事業年度を除く。)において国内雇用者に対して給与等を支給する場合において、当該事業年度において当該中小企業者等の継続雇用者給与等支給額からその継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額の当該継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が百分の一・五以上であるとき(当該中小企業者等の雇用者給与等支給額がその比較雇用者給与等支給額以下である場合を除く。)は、当該中小企業者等の当該事業年度の所得に対する調整前法人税額から、当該雇用者給与等支給額から当該比較雇用者給与等支給額を控除した金額(当該事業年度において第四十二条の十二の規定の適用を受ける場合には、同条の規定による控除を受ける金額の計算の基礎となつた者に対する給与等の支給額として政令で定めるところにより計算した金額を控除した残額)の百分の十五(当該事業年度において次に掲げる要件を満たす場合には、百分の二十五)に相当する金額(以下この項において「中小企業者等税額控除限度額」という。)を控除する。この場合において、当該中小企業者等税額控除限度額が、当該中小企業者等の当該事業年度の所得に対する調整前法人税額の百分の二十に相当する金額を超えるときは、その控除を受ける金額は、当該百分の二十に相当する金額を限度とする。


一 当該中小企業者等の継続雇用者給与等支給額からその継続雇用者比較給与等支給額を控除した金額の当該継続雇用者比較給与等支給額に対する割合が百分の二・五以上であること。


二 次に掲げる要件のいずれかを満たすこと。
イ 当該中小企業者等の当該事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される教育訓練費の額からその中小企業比較教育訓練費の額を控除した金額の当該中小企業比較教育訓練費の額に対する割合が百分の十以上であること。
ロ 当該中小企業者等が、当該事業年度終了の日までにおいて中小企業等経営強化法第十三条第一項の認定を受けたものであり、当該認定に係る同項に規定する経営力向上計画(同法第十四条第一項の規定による変更の認定があつたときは、その変更後のもの)に記載された同法第二条第十項に規定する経営力向上が確実に行われたことにつき財務省令で定めるところにより証明がされたものであること。

租税特別措置法施行令
第二十七条の十二の五
23 法第四十二条の十二の五第一項の規定の適用を受けようとする法人のその適用を受けようとする事業年度に係る同条第三項第十一号に規定する比較教育訓練費の額が零である場合における同条第一項の規定の適用については、次の各号に掲げる場合の区分に応じ当該各号に定めるところによる。
一 当該事業年度に係る教育訓練費の額が零である場合 法第四十二条の十二の五第一項第三号に掲げる要件を満たさないものとする。
二 前号に掲げる場合以外の場合 法第四十二条の十二の五第一項第三号に掲げる要件を満たすものとする。


24 法第四十二条の十二の五第二項の規定の適用を受けようとする同項に規定する中小企業者等のその適用を受けようとする事業年度に係る同条第三項第十二号に規定する中小企業比較教育訓練費の額が零である場合における同条第二項の規定の適用については、前項の規定を準用する。この場合において、同項各号中「第四十二条の十二の五第一項第三号」とあるのは、「第四十二条の十二の五第二項第二号イ」と読み替えるものとする。

今回の制度の場合、上乗せの要件が「今期の教育訓練費の『増加割合』が対前期比で10%以上」か「前期の教育訓練費がゼロの場合、今期1円以上の教育訓練費」ということになるので、集計に際しては「前期の教育訓練費については少なめに」、「今期の教育訓練費については多めに」、「翌期に備えて今期の教育訓練費も要件を満たす最小限で」というベクトルが働くと思うので、教育訓練費の抽出の際には恣意性が介入する余地が結構あると思うのですよね。

教育訓練費の定義は「法人がその国内雇用者に対して行う教育、訓練、研修、講習その他これらに類するもの」にかかる費用ですが、例えば下記の明細にある「セクハラ防止講習」とか「メンタル改革セミナー」とかは、チェックする担当者によっては「教育訓練じゃない」ということで対象から外すこともあるような気がしますし・・・。
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教育訓練費じゃないものを含めてしまったり、逆に教育訓練費に該当するものを抽出しなかったりした場合に、教育訓練費増加割合が10%ギリギリのところだったら、やっぱり問題になってしまうことはあるのかなあ・・・。
また前期の教育訓練費がゼロの場合、今期一件でも1円でも教育訓練費に該当するものがあれば上乗せ措置があるから、普段教育訓練なんかしないような法人でも教育訓練費があるのかどうかのチェックはしなければならなくなるような気がしますね。
いい制度ですけど教育訓練費、会計事務所でもちゃんとチェックできるのかしら?


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です


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