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Channel: 夢見る税理士の独立開業繁盛記
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[読書]「ビジネスマンの基礎知識としての損得計算入門 」を読んだこと

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「前向きな選択をするためには、会計思考を捨てましょう。義理人情は忘れましょう。埋没費用にケリをつけましょう。」のキャッチフレーズに魅かれて購入。

ビジネスマンの基礎知識としての損得計算入門

ビジネスマンの基礎知識としての損得計算入門

損得計算、いわゆる意思決定会計の入門本ですが、考え方がや切り口が変わっていて勉強になりました。


この本では意思決定を行う場合の考え方として、「最初に目的をしっかり決める」。その上で、意思決定をした場合の結果、つまり「収益と費用」の差がどうなるかの損得勘定を行うべきとしています。

少し前に赤字工事のことを書いた日記で、「次の受注のためには、多少赤字でも引き受ける」、「たとえ赤字案件でも、人や設備を遊ばせておくよりまし」、「資金繰りのためには、案件を選んでいられない」、「利益率が悪くても、工期が短いから何とかなる」と、利益的に赤字の工事でも引き受ける話を書きました。

赤字工事であっても他にする仕事が全くなければ、引き受けなければ収益・費用ともゼロですが、赤字工事を引き受けることで多少なりとも収益を出すことができます。

目的が「当座の資金繰りを回す」とか「人や設備を遊ばせない」ということであれば、この赤字工事を引き受けるべき理由があることになります。

しかし一方で「骨折り損の草臥れ儲け」。ずっと赤字工事ばかりだと販管費などの固定費は回収できず、将来の投資のための資金もたまらず、人も疲弊してしまいます。会社として利益を出して、成長していくことを目的とするならば、ずっと赤字になる得意先の工事は回避すべきということになります。

「この仕事をするのは何のためか」という目的を踏まえたうえで、損得計算を行って意思決定を行うべきなのでしょうね。


と偉そうなことを言ってしまいましたが、私自身の仕事の経験上でも、そう思えるようなことがありました。

私の仕事のやり方の一つに、「記帳代行はできるだけ回避する」というものがあります。

記帳代行は会計ソフトがあれば誰でもできるので、税理士が提供するサービスとしては価値が低く、お金を払ってまで税理士にやらせるよりは自計化すべきというのが私の考えです。

また税理士側でも記帳代行は単純作業の割には時間を食うので、税理士として知識・経験のレベルを上げてもっといいサービスを提供とするためには、足かせになってしまうように思われます。


「できるだけ記帳代行は引き受けない」というスタンスは開業時からのものですが、一方で開業したころは時間の余裕もたっぷりありました。

「時間余ってるし、多少でも収入につながるのなら記帳代行も請けようかな・・・」という誘惑は常にありましたが、忙しくなってきたら足かせになるだろうなと思い、別料金で割高なことを説明して、どうしてもという場合を除き自計化していただく方向に持っていくようにしていました。

当時は記帳代行しないことを理由に断られると、「もったいなかったかな・・・(^^;」という葛藤がありましたが、今となってはそれが正解だったと思っています。


私の場合は、自分の理想とするサービスを提供したいという考えがありましたが、楽しくやりがいのある仕事をしていくためには、損得勘定の前に「何のためにこの仕事を引き受けるのか」を考えて意思決定していくことも大事なことだと思いますね。


神戸市東灘区御影の会計事務所 小林敬幸税理士事務所です


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